
大日本帝国が1890年に制定した「教育勅語」は、当時の日本の教育の指針となる重要な文書でした。
この勅語は、国民に対して、どのような価値観を教育で身につけるべきかを示すもので、学校だけでなく家庭や社会全体に向けて発せられたものです。
では、この教育勅語の内容は一体どんなものだったのでしょうか?
教育勅語の内容
教育勅語は、全12条から成り立っています。これには、国民にとって大切な「道徳」と「行動」の指針が示されており、特に「忠誠」「勤勉」「道徳」を大事にするようにと強調されています。
1. 全体の趣旨
教育勅語は、天皇を中心とする忠誠心を養うことを第一とし、国民一人ひとりが「国家のために働き、自らを立派な人物にすること」を重視しました。国民全体に対して、道徳心を身につけることを促す内容となっています。
2. 口語訳での解釈
口語訳にすると、わかりやすく次のような内容になります。
- 第一条:『天皇を中心とした国を大切にし、国民としての義務を果たすように』
- 第二条:『親を大切にし、家族を愛し、周りの人々と協力すること』
- 第三条:『国民として国に尽くし、社会のために貢献する』
- 第四条:『勤労を美徳とし、自分の職業を誠実に務める』
- 第五条:『礼儀を重んじ、節度を守ることが大切だ』
- 第六条:『悪いことをせず、正しい行いをすること』
- 第七条:『学問を重んじ、知識を深めるように』
- 第八条:『親を敬い、兄弟仲良くすることが大切だ』
- 第九条:『友達と協力し、他人を思いやる心を持つ』
- 第十条:『国を守るために力を尽くすこと』
- 第十一条:『健康に気をつけ、自分を大切にすること』
- 第十二条:『自分の使命を果たし、立派な国民になること』
教育勅語の影響
教育勅語は、日本の教育に大きな影響を与えました。学校教育だけでなく、家庭教育や社会教育にも使われ、多くの人々がこの文言に基づいて行動するよう求められました。しかし、その一方で、一部では「過剰な国家主義教育」や「軍国主義教育」の影響を持つとして批判を受けることもありました。実際に教育勅語の指導方針が、戦争に向かう時代を作り出す一因とも言われています。
まとめ
大日本帝国の教育勅語は、国民一人ひとりに対して「道徳」「忠誠心」「勤勉」を強調し、国家に貢献することを求める内容でした。その内容は、現在の目で見ると少し古い部分もありますが、当時の日本にとっては、道徳心を養うための大切な指針として受け入れられました。しかし、教育勅語が持つ国家主義的な側面が批判されることもあり、今でもその影響は様々な形で議論され続けています。